こんにちは。
登山歴10年のおるおるです。
今回は、親孝行登山プロジェクト第2弾 南アルプス深南部 「悪沢岳~赤石岳」の大冒険編をつづっていきます。
2021年の夏 「大ケガから復帰した父」と「父を支え続けた母」を連れて、夢の大縦走黒部五郎岳に挑戦しました。
必死の思いで挑戦した大縦走の記録はコチラにつづっています。
そして、2022年の夏 南アルプスに挑戦します。
おる母の要望に応えて、南アルプスの大縦走に挑むことになりました!
テレビで見た悪沢岳から赤石岳の稜線を歩いてみたい
その一言からこの挑戦は始まりました。
悪沢岳・赤石岳 は、入山するまでのハードルが高く、山小屋予約やバスのシステムもわかりずらかったです。
2023年 悪沢岳・赤石岳に挑戦する方はぜひコチラも参考にしてください。
【関連】【南アルプス 悪沢岳・赤石岳】周回ルート徹底解剖~天空のお花畑へ~
- 60歳以上の高齢者と親孝行登山したい方
- 大ケガしたけど、山を諦められない方
- 悪沢岳・赤石岳へ登りたい方
おるやま一家の登山記録ですが、高齢者との登山や親孝行したいと感じている方に向けて書いています。
ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。
南アルプス 悪沢岳・赤石岳周回ルート 登山計画
親孝行登山プロジェクト 第2弾の目標は、南アルプス深南部の悪沢岳と赤石岳へ挑みます!
悪沢岳は、南アルプス南部の荒川三山の主峰 東岳(標高 3,141m)の別名で、日本百名山のひとつで、標高は日本で6番目に高い山として知られ、山頂から望む富士は言葉で言い表せない大絶景が広がります。
悪沢岳のほかに、荒川三山には、中岳(標高:3,083.7m)と前岳(3,068m)のピークがあり、赤石岳に向かう際に超えていく必要があります。
2つ目の目標である、「赤石岳(標高3,120m)」は日本百名山のひとつで、7番目に高い山です。
大昔にとある大富豪がその美しさに魅了されて、多くの人に担ぎ上げられて登頂した山として知られ、山頂からは深い南アルプスの山並みや富士山を望むことができます。
そんな夢の大縦走に向かう今回の周回ルート登山計画はコチラです。
登山ルート:荒川岳(悪沢岳)~赤石岳 周回ルート
体力度:★★★★★
難易度:★★★☆☆
※60代両親を基準に評価しました
全日程:2泊3日
総距離:29.1 km
登山 工程
【1日目】 コースタイム 約8時間 体力度:★★★★☆ 難易度:★☆☆☆☆ | 椹島(さわらじま)登山口 ↓ 樹林帯を延々と登ります 千枚小屋 (1泊) |
【2日目】 コースタイム 14時間 体力度:★★★★★ 難易度:★★★☆☆ | 千枚小屋 ↓ 美しい稜線歩き 荒川三山 (悪沢岳・中岳・前岳) ↓ 標高を大きく下げて、鞍部の荒川小屋からの登り返しはつらい 赤石岳 ↓ 険しい樹林帯を超えて、富士見平からの景色は最高! 赤石小屋 (1泊) 3000mの稜線でアップダウンを繰り返し進みます |
【3日目】 コースタイム 6時間 体力度:★★☆☆☆ 難易度:★★☆☆☆ | 赤石小屋 ↓ ※樹林帯の中、富士山を正面にして下ります 椹島(さわらじま)ロッジ |
【山行記録:YAMAP】
千枚岳・丸山・東岳(悪沢岳)・荒川中岳・前岳・小赤石岳・赤石岳 / おるやま△登山嫌いな妻と山に行くさんの荒川岳・荒川中岳・小赤石岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
【登山前日】畑薙ダム 車中泊での悲劇
登山前日の午後15:00
いよいよ、夢の大冒険に向けて大阪を出発しました。
休憩を含めて約8時間かけて、「畑薙(はたなぎ)第一ダム」へ向かいます。
東名高速道路 島田・金谷ICを下りて、約2h30分は山道を進みます。
暗闇の中でさらに雷雨にさらされながら、なんとかバス乗り場がある畑薙ダム第一駐車場に到着しました。
深夜12時。さすがに疲れ果てた3人はすぐに車中泊で寝ました。
・・・。ここからが悲劇の始まりでした。
【悲劇その①】
車内が暑すぎて眠れない
うちわであおぎますが、全然冷えないし、身体が熱くなる一方でした。
【悲劇その②】
おる父のいびきがうるさくて眠れない
添い寝しているので、耳栓なんて関係ありません。
暑すぎるし、うるさすぎて眠れないので、とりあえずドアを空けて涼むことにしました。
【悲劇その③】
ぷ~ん・・・。耳元でするこの音は?
そうなんです。蚊が車内に入ってきました。
慌ててドアを閉めて、虫よけスプレーを身体にかけましたが、効果はありません。
暑い、うるさい、かゆいのトリプルパンチで我慢できません。
ようやく落ち着いて少し眠りましたが、暑くて再びドアを少し開けました。
ぷ~ん・・・。
時刻は午前4時。
寝ることをあきらめました。
結局、僕とおる母は起床。
おる父は平和に寝ていました。
【1日目】椹島登山口に向けてアトラクションバス乗車
登山1日目の朝は、うっすらと曇り空で山の上は雲がかかっていました。
悪沢岳と赤石岳の登山口がある椹島(さわらじま)ロッジまではバスで向かいます。
バス発着は畑薙第一ダム夏季臨時駐車場入り口の登山案内所の正面です。
バスは完全予約制ですが、なぜか人数が多いと乗れないことがあるため早めに並ぶのが吉
※また、補助席になると、道中の悪路で辛い運命も待っています
バス停で30分ほど待つとバスが到着しました。
バスに乗る時に予約有無をドライバーさんが確認してくれます。
道中はとても危険なので車内ではヘルメットが配られました。
どんな悪路を進むのかとビビっていたら、まるでアトラクションなのかと思えるようなデコボコな山道。
常にジャンプしているような状態で、バスに揺られながら約1時間で椹島ロッジに到着します。
時刻:8:30
バスを下りると椹島ロッジやトイレ、売店があります。
千枚小屋・赤石小屋に向かう方は、最後の休憩と補給場所なので、忘れ物がないか念のためチェックしましょう。
【1日目】南アルプス大縦走 千枚小屋へ向かう
椹島ロッジから千枚小屋までのコースタイムは約8時間です。
途中にトイレや山小屋は一切ないため、きっちり準備を済ませておきました。
いよいよ、夢の大冒険に出発です!
椹島ロッジを出発して、少し登ると分岐があります。
分岐を前にして、おる父とおる母が左手の赤石岳方面へ進んでいました。
まって、そっちちゃうで!
右の千枚小屋に向かうんやで!
あ~。よ~わからんと進んでたわ。アハハハハ
よ~わからんで進んだらあかんで~
危ないやんw
いきなり道を間違えたおる母とおる父に軽く注意しながら、正しい道に戻りました。
整備された道路を歩き、大井川にかかる鉄の大きな橋をわたっていきます。
この道の先では、あのリニアの工事が行われているとのことで大型ダンプカーが通るので注意がいりますね。
天気は晴れてとても気持ちがいいです。
鉄の大きな橋を超えて3分ほど登ると、次は立派な千枚大吊橋が現れます。
吊橋を渡れば、いよいよ本格的な南アルプスの登山入口。
わくわくが止まりません!
吊り橋をわたり終えると、急坂が始まります。
いきなりの急騰でおる父もおる母も前をまったく見ていません。
序盤の序盤でいきなりの急登に、へとへとなおる父とおる母です。
あ~しんど、あ~しんど
「こんな序盤でしんどかったら最後まで登れないよ…」と僕は内心ひやひやして進みました。
千枚小屋までは展望がほとんどない樹林帯を進みます。
2つの大きな鉄塔を超えます。
登っては少し下ってを繰り返すので、おる母がやや疲れ気味でした
せっかく登ったのに、また下りるんや~…
急な下り坂では両手をついて下るため繰り返してるとさすがに疲れてきますよ。
再び登り返すと、「岩頭見晴らし」に到着しました。
千枚小屋までの道のりで、2カ所しかない展望スポットです。
見晴らし台からの景色はコチラです。
悪沢岳方面には、がっつり雲がかかっていました…。
一日目は山頂まで行くわけではないので、明日の晴れ予報に期待です。
登山道は樹林帯の中ですが、全体的によく整備されていて歩きやすい道でした。
展望がない樹林帯を歩くと集中力が少しずつ失われていきます。
ところどころに木の橋が整備されており、青々とした美しい木々がとても魅力的でした。
しかし、昨夜の格闘でおる母は寝不足状態。
元気がでないため、コースタイムが想定より1割ほど遅れ始めました。
まだまだ序盤のため、気が焦る僕 おるおるです。
急に広がるシラビソの樹林帯がとてもきれいで、再び母の気分が回復しました。
いつものおる母なら、うきうきして写真を撮り続けるはずですが、本日の足取りはとても重たいです。
千枚小屋と椹島の看板を通過するおる母は。
いつ千枚小屋につくの?
まだまだやで~
え~、わかったわ~。。。
おる母はなんとか気持ちを保っていますが、どうしても眠いみたいです。
前日の暑さと蚊の戦いで、体力を消耗しつくしていました。
やっとの思いで休憩ポイント、水場「清水平」に到着です。
千枚小屋までの唯一の水場で、ゆっくり休みました。
湧き水に注意して、SOWYER ソーヤーミニのろ過器を試しました。
ソーヤーミニは大腸菌やバクテリアを除去できるので、安全に天然水を飲めます。
これまでは、登山道にある水場でも本当に安全なのか心配していました。
長距離縦走で水場が限られているため、準備して正解です。
軽量で持ち運びも楽でおいしい南アルプスの天然水を飲めました
【関連】【登山に最適!!浄水器『ソーヤーミニ』の魅力と使い方徹底レビュー】
【1日目】大ピンチ おる母 道端で寝る
水場を超えて、登りはまだまだ続きます。
いたいいたいたい!
おる母が急に立ち止まり、右太ももを攣ってしましました。
おる母の疲労感は想定よりも深刻そうでさすがに、判断に迷うタイミングです。
千枚小屋まではまだ4時間は歩かないといけません。
このままでは最後まで到着が危ういと考え、おる母の荷物を少しずつ預かります。
とはいえ、すでに道中でおる母の荷物をほとんど預かっていたので、預かれる荷物がありませんでした。
しばらく進むと看板が出てきました。あと3時間・・・。
千枚小屋まで3時間、椹島ロッジへ戻るのも3時間と、登山道の中間点に到着しました。
時刻は午前11時を超えたところです。
戻るなら今やけどどうする?
おる母の体調不良と足取りを見て、勇気ある撤退を提案します。
え~もどるの?
今の母さんの足取りでは3時間歩けないよ
5時までに山小屋にもつかないよ
冷静に状況を説明しました。
う~ん
もう少し行ってみたいし、寝不足が原因やから大丈夫やと思う
話を聞きながら、親孝行登山で事故や遭難はしたくない。
一方で、素晴らしい景色を見せてあげたいという思いもあります。
おるおるの心の中で論争が繰り広げた末、結論を出します!!
わかった
じゃぁ荷物を全部持つわ!
おる母のバックパックを持つことにしました。
一気に重量は増えましたが、許容範囲の重量だったので行けると判断し、先に進みます。
おる母のペースは上がりませんでしたが、足取りはかなり軽くなりました。
僕はペースを一定に保たないと体力がもたないため、後ろを振り返ることなく黙々と進みます。
美しい樹林帯の中に日差しが射して励まされました。
振り返るとおる父もおる母もついてきていません。
おる母のペースがゆっくり過ぎてついてこれなかったようです。
僕 おるおるの雄姿を誰も見ていないので、自撮り撮影しました!
写真を見返すと大きな荷物をよく担いだと、自分で自分をほめてあげたいです。
本日、2つ目の見晴台を通りがかります。
少し登山道を離れて登ったところにその展望台はありました。
明日は母の体調次第で縦走できるかわからないですが、悪沢岳を含む荒川三山から赤石岳の縦走路が望めました。
はじめて持ってきた一眼レフカメラもここでようやく活躍します。
望遠レンズに切り替えて、悪沢岳を撮影するとかろうじて山頂を捉えることができました。
稜線上には、通過予定の荒川小屋も見えました。
「おる母はあの場所まで登ることができるのだろうか?」と不安になりながら展望台を越えて、再び樹林帯の緩やかな登り道を進みます。
さすがに延々と登り続けて疲れたので、登山道の途中で休憩を取りました。
しかし、15分ほど休憩しても、両親がまったく現れないので、心配になり荷物を置いて引き返しました。
10分ほど下ったところで、ようやく両親と合流。
どうしたん??
なかなか上がってこないから心配で下ってきたよ
眠たすぎて歩きながら寝そうになったから、危ないと思って道端で寝たわ
3分ほど横になったら、スッキリしたから登れるようになった!
と笑顔で報告するおる母です。
今回の登山最大のアクシデントは、「道端で母は寝たこと」でした。
顔色もよくなっていたので、これなら登れると安心しました。
ただ、次回の登山からは、
絶対に寝不足で登るのはやめる
と心に誓いました。
荷物を再び担いで、再スタートです。
【1日目】一人で歩く南アルプス
かなりゆっくりのペースで登っていたので、誰も後ろから登ってきません。
両親も再び離れており、1人だけで登るのはさすがに怖かったので音楽をつけました。
こんな時に役立つのが、オフライン再生ができるAmazon Music Unlimited です。
スマホにダウンロードしておいた「ジブリコンサート」を流しながら歩きました。
音楽を聞きながら登ると気分が乗ってきて新しい登山の楽しみ方が知れました。
普段は人が多いとできないため、とても貴重な体験です。
千枚小屋まで残り1時間の標識に到着。
1分くらい脇道に逸れると、静かな「駒鳥池」がありました。
「本当はコマドリが飛んでいるのかな?」と想像しながら、すぐに引き返して先を急ぎます。
時刻はすでに16時に迫っており、ぎりぎり17時に到着する時間帯です。
【1日目】ラストスパート お花畑 オアシス 千枚小屋
駒鳥池を越えて、無心で登りつ受けると残り15分の標識がありました。
ここまでくれば、ラストスパートです。
心が焦っているのか、何度も山小屋のように見える木々がありました。
「まだかなぁ。まだかなぁ」と不安にないながら進むと、急にお花畑が広がりました。
そのお花畑を超えると、1日目のゴール 千枚小屋 に到着です。
後半は緩やかに登りが続き、おる母の荷物を担いでたので、へとへとになりました。
千枚小屋は、大きくはありませんが、とてもきれいな山小屋です。
荷物をおろして受付です。
玄関を入るとすぐに受付と売店がありました。
1階と2階の方は受付すぐ横から部屋に入れます。
しかし、到着が遅かった僕たちの部屋は3階でした。
3階へは小屋を一度出て外から回るので食堂や売店が遠くなるのが難点です。
ただ、部屋に入ってみると秘密基地みたいで、逆にワクワクしました。
千枚小屋周辺の見取り図はコチラです。
中央の広場の横に階段があり、ここから3Fの部屋に入ります。
部屋に荷物を置いたら、すぐにヘッドライトと水分をもって、親を迎えに再び椹島方面へ下り始めました。
現在時刻は、16:30です。
早出早着が基本の登山ではかなり危険ですが、今回は天候が崩れない予報だったので助かりました。
15分ほど戻ったところで、両親と再会します。
ラスト15分集中して登るよ
「ひーひー」言いながらも、おる母とおる父も無事に千枚小屋に到着しました。
小屋に到着して、夜ご飯まで1時間ほどの空き時間があったので、おる母にご褒美のコーラをプレゼント!
なんとか、1日目はゴールできて良かったです。
夕食はハンバーグ定食でした。
疲れた体には、やっぱり冷たいビールが一番です!
あっという間に完食して、小屋周辺を散策してみました。
千枚小屋には、小屋から3分ほど歩いたところに「テント場」があります。
テント場は、樹林帯の中のため展望はありません。
いつかはテント泊にも挑戦してみたいです
【山小屋情報】千枚小屋 ’23
千枚小屋 山小屋情報 ’23
営業開始 | 7月13日 |
---|---|
営業終了 | 10月9日 |
宿泊料金 1泊2食(大人) | 13,000円 |
宿泊料金 素泊まり | ー |
予約有無 | 必要 予約なし+1000円 |
定員 | 80 |
テント1名 | 2000円 |
テント定員 | 30張 |
テント場予約有無 | なし |
水場 | あり |
予約方法 | Web |
キャンセルポリシー | 規定あり |
受付開始日 | 6月頃 |
WEB予約 | 予約ページ |
電話 | 4/18~ Tel:0547-46-4717 |
公式HP | 特殊東海フォレスト公式HP |
【振り返り】南アルプス深南部 千枚小屋を目指す
今回の親孝行登山では、3000m級の峰々を越えていく大冒険です。
「寝不足のおる母が道端で寝る」アクシデントがありましたが、千枚小屋にぎりぎり到着。
2日目に備えてゆっくり休みました。
本番は明日、3000m級の荒川三山、赤石岳を超えて赤石小屋まで約12時間の予定です。
話し合いの結果、おる母の体調が優れなければ悪沢岳まで登ってピストンしようと決めました。
明日の天気は晴れ予報で、とても楽しみです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
次回も読んで頂けますと幸いです。
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